変わりゆく風景に

制作記録

2021/2/13


最近、自宅からそう遠くない土地で開発が始められた。
売り地の立て札が経っていたので、ゆくゆくは住宅地になっていくのかもしれない。

以前は木々が生い茂り、その先に見えるはずの風景を覆い隠してしまっていたその土地は、開発が始められたことで視界が開け、田園風景が見通せるようになった。

開発されたり、新しい建物が建てられたりすると、もともとそこにどのような景色が広がっていたのか、あっという間にわからなくなってしまうものである。
この景色も、いつの間にか当たり前になって、もともとの土地の姿などすぐに忘れてしまうのかもしれない。
そうと思うと、その土地に特別に強い思い入れがあったわけでなくても、少しだけ寂しくなる。

一方で、変化することで新しく見えてくる風景もある。
今回の開発でも、木々が取り払われたことで新しい景色が見えるようになり、それはそれで良いものであるようにも思う。

それと同時に、妙な懐かしさもこみ上げてくる。
木々が今ほど伸び切ってしまう前は、こうして景色が見えていたはずで、その頃に見ていた景色を思い出したような錯覚を覚えるのである。

幼い頃は、夜になり、遠くに並んで光る高圧線の鉄塔のランプ(航空障害灯というそうだ)が、あたり一帯を取り囲む城壁のように感じられたものだ。
いつの間にか見えなくなっていたその明かりが再び見えるようになったことで、大きな変化が起こっていることを実感することになった。

もちろん、当時の景色をそのままそっくり覚えているわけではない。
であるにも関わらず、今日もその景色を見て「ああ、そうだったな」と、思わずひとりごちてしまったのは、我ながら不思議なことだと思う。

変わりゆく景色への感傷か、はたまた印象による記憶の改ざんか。
人間の認識というものは、時に非常に都合の良い態度をとるものである。

今週の制作の進捗は以下のとおり。
相変わらずのろのろとしたペースである。

F8号
F8号
F50号

いずれも今月中の完成を目指していたのだが、ちょっと厳しくなってきた。
手の入り方は悪くないので、何とかペースを上げつつ、しっかり進めていこうと思う。

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