2021/1/31
「ネオテニー・ジャパン――高橋コレクション」展をご存じだろうか。
コレクターである高橋龍太郎氏のコレクションを展示したもので、2008年から2009年にかけていくつかの美術館を巡回していた。
当時、大学院生だったわたしは、上野の森美術館でこの展覧会を見たのだが、一言でいえば、とても私好みの内容だったことを覚えている。
もはや定番といえる村上隆、奈良美智、会田誠、山口晃らはもちろん、池田学、鴻池朋子、束芋、名和晃平、天明屋尚などなど、当時美術に関するメディアでよく取り上げられていた作家が名前を連ねていて、まさに2000年代のある流行のようなものが詰め込まれた展覧会だったように思う。
池田、鴻池、天明屋などは、当時購読していたイラストレーション関連の雑誌でも紹介されていたし、展覧会で初めて見た加藤美佳の作品は今でも強く印象に残っている。
ふと、思い出してカタログを引っ張り出し、懐かしい気分で眺めていたのだが、これらの作品が10年前に「最新」といううたい文句で紹介されていたことが、妙に面白く感じる。
わたしにとっても、この展覧会は2000年代の記憶の象徴ともいえるものになっているようだ。
今の「最新」は、「流行」は、いったい何だろうか。
10年後に今を俯瞰してみたとき、どんなことを思うのだろうか。
ちなみに、「ネオテニー」とは、幼形成熟ともいわれ、性的に成熟していても幼生の性質が残るという動物の状態を指すものだ。
例としては、成体になっても鰓呼吸で生活する両生類や、変態を行う昆虫でありながら幼虫のまま生殖を行うものなどがわかりやすい。
わたしは言葉を収集する癖があるのだが、響きの良さと、歪さを感じさせる意味から、この「ネオテニー」という言葉を非常に気に入っている。
そういうこともあって、「ネオテニー・ジャパン」はわたしの中で余計に印象深いものになっているのかもしれない。
さて、先週はほとんどF4号の完成までにかかりきり。
写真は完成直前の様子。
できあがりは発表をお楽しみに。
ほか、アトリエのF50号と、2度つぶしたF8号を制作中。
このF8号は大分てこずっていて、なかなか形にならない。
もう剥がしてしまおうかとも思い始めているが、うまくいかなくてもとにかく完成までもっていくことを目標にすることにした。
もう1枚のF8号と並行して進めていくつもり。