2021/6/6
月に何日か自転車で通勤する日がある。
早く帰れる日には遠回りをして、普段は使わないような道を通ってみる。
最近は日が長いので、いつまでも明るいようでいて、しかし景色は着実に影ともいえない陰に沈んでいく。
夕暮れの時間特有のオレンジ色の光が、初夏の緑をより鮮やかに映し出す。
また、影の中では影に沈みながらもなお主張する鮮やかさがある。
昼間の白い光の下では見ることができないその緑が、とても好きだ。
裏通りに入り、いつか立ち入ってみたかった集落の中へ進む。
夕時の人気のない集落は隠れ里のようで、何とも言えないノスタルジアを感じさせる。
道中にある神社の境内は、参道の木々の影が強く落ちて、隙間から斜めに差し込む夕日によって輪郭が浮かび上がっていた。
鳥居の先は神域とされるが、酉の刻過ぎ、逢魔が時、昼と夜がまじりあう時間の神社はかなり雰囲気がある。
神社で柏手を打ってから、田園に向かって坂道を下る。
水面に反射する夕空。
茜色から濃紺へのグラデーションはずっと見ていたいくらいに美しい。
民家の裏に通りかかると、どこからともなく漂ってくる夕餉のにおいに、人の暮らしのぬくもりを感じる。
誰もが皆、決して特別ではない小さな幸福を守るために生きているのだなと、そんな当たり前のことを改めて考えさせられた。
そんな水曜日の帰り道は、とても素晴らしい時間だった。
まるでフルコースを味わうように、景色を楽しむことができた。
こんなに贅沢をしてよいのだろうかと思うくらいに。
そのコースの締めに選んだのは、もう見飽きるくらいに見慣れた景色。
自宅前の高台から見下ろす田園風景。
ただこれを見られれば、それを形にしたい欲求が満たせれば、十分である。
そうして、今ここにあるものだけで満たされることができる。
久しぶりに時系列の物語調の文になってしまった。
さて、制作は以下のような状態。
全体的にディテールが進んできている。
ここのところ概ね良いペースで制作できているので、この調子で完成までもっていきたいところ。